「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」

ご存じの方も多いと思いますが、相田みつを氏の詩です。今年「行動経済学」研究でノーベル経済学賞を授賞したリチャード・セイラー氏(シカゴ大学教授)は相田の大ファンだそうです

行動経済学とは、旧来の伝統的経済学が想定するほど、人間の行動は合理的(=利益を最大化し損失を最小化する)ではない、とする理論です。世の中を見渡すと、確かにそのような事例は山ほど存在します

例えば競馬の世界では「本命-大穴バイアス」と呼ばれる心理的効果が存在することが指摘されています。これは「本命馬券は本来の実力より過小評価され、大穴馬券は過大評価される」という現象です。特に連戦連敗の後は「よし、次のレースで大穴を当てて、損失を取り返してやろう!」という心理が働きます。言うまでもなくこれは合理的行動ではありません。(走る方の馬にしてみれば、あなたが勝っていようが負けていようが知ったことではありません)

人間はめったに起こらない出来事(事故やテロ)を過大評価します。どこかで飛行機事故が起きると、自分が乗る飛行機も落ちるのでは?と不安になります。でも、実際には飛行機は世界中で毎日何十万便(!)も飛んでおり、そうそう落ちません!自動車事故で死ぬ確率の方がずっと高いのです。(これは視聴率=商売のために不安を煽るメディアの責任大と思いますが…)

行動経済学の実践的応用としてセイラー氏は、ほんのわずかなきっかけで世の中を良い方向に大きく動かす現象(ナッジ)の活用を提唱しています(ナッジとは「ヒジで小突く」という意味)。例えばカフェテリアの最初に野菜を置くと野菜を食べる人が増えたとか、男性用小便器の真ん中に小さなハエのシールを貼ると周囲の汚れが激減したとか、身近にもいろんな事例があります。世界中でナッジはどんどん取り入れられており、気づかないうちにあなたもナッジされているはずです(^^)

人の幸せにひっそりと貢献する行動経済学。相田の詩もホンワカと私たちをなごませてくれます。思わぬところに接点があると知って、何かほのぼのとした気分になりました